ピロリ感染と胃がん
今更感もありますが、胃粘膜に感染するピロリ菌が胃がんの発生に強く関係していることは広く知られていることです。2013年からピロリ菌感染がある人には保険で除菌治療を行うことができるようになりました。それ以前は胃潰瘍や胃がんの方以外は自費で除菌していたこともあったのです。ピロリ菌感染は主に5才以下で起こり、その原因として今は井戸水とかではなく、80%が親から子への家庭内感染だと言われています。とにかく除菌が一般的になってきてピロリ感染率の低下がおこり、将来的には胃がんはかなり少なくなるだろうと予想されています。2021年のデータではピロリ菌の感染率は60歳で48%、70歳で59%、80歳で64%でしたが、20歳は6%でした。そして胃がんの発がん率は、ピロリ菌感染のある人で1%、除菌された人で0.5%、感染のない人で0.05%でした。
つまり・・・除菌後は発がん率は半減するけれど、感染のない人の10倍の発がんが見られるのです。ピロリ菌感染の除菌は抗生物質で菌を退治するのですが、その成功率は85~90%くらいです。除菌した方は必ず、除菌されたかどうかの判定検査を受けましょう。薬を飲みっぱなしでは菌が居続けている可能性があります。そして、除菌後も胃がんのリスクがあると考え、胃カメラを定期的に行っていきましょう。
ですが、驚くなかれ・・・ピロリ未感染者でも胃がんにはなるのです。胃がんの原因がピロリ菌だけではないのですね。ピロリ菌が居ない方も毎年とは言いませんが、2~3年間隔でよいので定期的に胃カメラをしましょう。ピロリ未感染の胃がんは胃カメラでないと見つかりません。
結局のところ胃がんの早期発見(その方が治療が圧倒的に簡単です!)のためにはピロリ感染に関わらず胃カメラを受け続けることが重要なのです。